『エレジーは流れない』読了

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『エレジーは流れない』 三浦 しをん  著

−−−丸山は、怜が寿絵に話を切り出せないのは、より身近な存在だからだと言った。怜自身も、そうなのだろうと思っていた。自分のなかで、母親は、家は、寿絵であり餅湯商店街の「お土産 ほづみ」なのだと。

 でも、ちがった。自分がとうして生まれてきたのか、自分を愛してくれているのがだれなのか、真実を知ってようやく、ちがうと知ることができた。

 寿絵も、伊都子も、怜にとって等しく母親だ。そう思おうとずっと自分に言い聞かせてきたことが、言い聞かせるまでもなく、今度こそすとんと腑に落ちた。(p 185 より)

 

 高校生たちの何気ない日常が描かれ、その中にみんなそれぞれの漠然とした未来への思いが散りばめられていて、自分はどうだったかなあと振り返ったりしながら読んでいましたが、母親たちの真実が知らされてから、あっという間に感動の大波が襲いかかってくるような感覚になりました。

 母たちの愛をしっかり感じたあと、怜の視界はパッとひらけて、愛に背中を押されて力強く歩きはじめる。愛の偉大さをあらためて知る一冊だったなと思います。

 

 

『医学のつばさ』読了

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『医学のつばさ』 海堂 尊 著

−−−「加えて時風新報が『こころプロジェクト』に関する報道に本腰を入れるそうです。村山記者は以前、曾根崎君に言われたことをずっと気にしていたそうで、『今度は、邪魔する相手が首相だろうが米軍だろうが、真実を伝えてやるから覚悟しろ』という伝言を頼まれました」

 真実を報道しないなんて新聞記者じゃない、と僕がキレたことを覚えていてくれたのか、と胸が熱くなる。どんな思いも、口に出さなければ、相手には伝わらない。

 だから、伝わらないと思っても、口にしなければダメなんだ。

 世の中は、すべてダメモトでできているんだから。(p256 14章 人生は、行き当たりばったりのでたとこ勝負。より)

 

現実世界とはかけ離れたような、巨大新生物が登場する話ではあるけど、上に抜き出した部分のような思いを海堂さんはこの物語に込めたかったのではないかな?と感じています。

「たまご」「ひよこ」ときて「つばさ」まで読み切って、少しすっきりとした気分も (^ ^)

ダメモトでも口に出してみる。自分もそうしてみようと思います。

 

『月曜日の抹茶カフェ』読了

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『月曜日の抹茶カフェ』 青山 美智子  著

−−− 待っていたのは私だけじゃなくて、本も一緒だ。それを富貴子が感じてくれたことが、嬉しかった。このあとタカハル君があの本とどんな豊かな時間を過ごすのだろうと思うと、ほんとうに満ち足りた気持ちになる。私は互いを引き合わせることができたのだ。

「ええしごと、してるな。あんた」

ふいうちの富貴子の優しい声に、ぽろっと涙が出た。

それは自分でも思いがけないことで、私はあわてて手ぬぐいの端で顔の汗を拭くふりをする。(p 146  8 抜け巻探し( 葉月・京都)より)

 

この本の帯には「人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。あなたも、きっと−−−」という言葉があります。

この本のどの話の中でも、誰かが誰かの背中を押しています。自分もそうであれたらいいな、そういう生き方ができていたらいいな、と思います。

 

 

『MR』読了

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『MR』 久坂部 羊  著

−−−「ひどい患者がいてもやり甲斐を感じられるのは、先生が患者ファーストだからですか」

「何、それ。そんなこと、考えたこともないな」

即答だった。池野は次の言葉が見つからず、そのまま東原の前を辞した。

帰りの車の中で、池野は混乱した。東原は患者ファーストなど考えたこともないと言った。それこそほんとうの患者ファーストなのかもしれない。しかし、エリートの東原が、どうして自尊心に振りまわされることもなく、善意の医師であり続けられるのか。

 またぎりぎりで赤信号に引っかかり、池野は舌打ちをした。その音ではっと気づいた。

 東原はほんとうのエリートだから、自尊心に振りまわされないのだ。

 そう感じて、池野はMRとしての自分を今一度、見つめ直して見ようと思った。(P115  9 患者ファースト より)

 

上記の部分は、この本に出てくる、数少ない「いいお医者さん」とのやりとりの部分。

今までたくさんの先生方にお世話になってきたけど、これから診察を受けるときは、その先生の後ろにはどんなMRの人たちがいるんだろう、と考えるようになるかもしれない…。

 

『そして、バトンは渡された』読了

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『そして、バトンは渡された』 瀬尾 まいこ  著

−−−「いや。梨花の言うとおりだった。優子ちゃんと暮らし始めて、明日はちゃんと二つになったよ。自分のと、自分のよりずっと大事な明日が、毎日やってくる。すごいよな」

「すごいかな」

「うん。すごい。どんな厄介なことが付いて回ったとしても、自分以外の未来に手が触れられる毎日を手放すなんて、俺は考えられない」( p280より )

 

 以前から読んでみたいと思っていて、映画化されることを最近知ったため、このタイミングで読みました。

壮絶で、でもちゃんとたくさん愛されてきた優子を、永野芽郁さんがどんなふうに演じられるのか、今からとても楽しみです。

 

「野菜生活ファーム」に行ってきた!

 

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夏休みの旅行のなかで、長野県諏訪郡にある「野菜生活ファーム」へ行ってきました。

ここ限定パッケージの野菜生活がかわいい〜 ^ ^

 

お盆の次の週の平日、コロナ禍ということもあってか、あまり混雑もなく希望の体験コンテンツにスムーズに申込・参加できました。

この時開催していた体験コンテンツは…

VR工場見学、収穫体験(とうもろこし、完熟トマト、ミニトマト、夏野菜、ミニ人参)とトマトの樹見学ツアーでした。

 

・とうもろこし収穫体験 ( ¥600で4本収穫 )

外から触っても先までしっかり実がついているとわかるもの、と教えてもらって、小2と年中の子どもたち2本ずつ収穫。子どもの力でも大丈夫でした!

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一本は生のままガブッと食べさせてもらい、その甘さにビックリでした。

雷雨でなければ、傘をさして雨天決行のようですが、畝の間隔があまり広くないのでカッパがあるほうがいいかな ( この日は雨が上がってきてラッキーでした♫ )

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ミニトマト収穫体験 ( 1人につき¥500 )

小2の上の子と一緒に参加しました。

ハウスの中にある何種類かのミニトマトの説明をファームの方にしてもらい、味見をしながら収穫したものをパックに詰めていきます。


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パックからあふれるぐらい詰めてもテープでとめてもらえるとのことだったので、たっぷり(^ ^)

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大雨が何日も続いた後で、気温は低めでしたが、ハウスの中は結構暑くて、脱ぎ着できる服装で行ってよかったです。

 

・完熟トマト詰め放題(1袋(小)につき¥500 )

本来は収穫体験なのですが、天気の影響もあり、この日は収穫済みの完熟トマトの袋詰めでした。

こちらも、トマトが袋からあふれそうでも、もっと入るもっと入ると言われ、本当にあふれてこぼれ落ちるまで詰めさせてもらいました(^ ^;)

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ちなみに加工用のトマトのようで、冷凍して皮を向いてから使うのがおすすめとおっしゃっていました。

トマトカレーとトマトソースを作りましたが、まだ半分以上残ってます!笑

 

・ひまわり迷路(無料・見学自由)

ファームから歩いて5分ぐらいのところに、ひまわり畑の迷路があります。

家族みんなそれなりに迷って、何とかゴール!

子どもたちもとても楽しんでいました(^ ^)

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旅行の日程の中ほどで行ったので、収穫させてもらったたっぷりのトマトを、数日間持ち歩くことになり、少し大変でした。

あと、とうもろこしをその日のうちに食べてしまいたかったのですが、旅行中だとどうやって加熱するか、が問題でした。

それも含めて旅行の予定を立てられていたらよかったな〜とは思いますが、大人も子どもも楽しめて、収穫したたっぷりのお土産もついてきて、お手頃なレジャーでした(^ ^)

 

『滅びの前のシャングリラ』読了

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『滅びの前のシャングリラ』  凪良 ゆう  著

−−− 明日死ねたら楽なのにと、Locoだったあたしはずっと夢見ていた。

その明日がついにやってくる。

あたしはしゃがみ込み、地面に手をついているポチを頭ごと抱きしめた。もうなにもできることはないのに、それでもあと十五日ばかりの間、あたしたちは呼吸をし、食事をし、排泄しなくてはいけない。ただ死ぬために。それにどんな意味があるのかわからないまま。

−−なあ、生きるってなんやねん。

あたしはその答えを、いまわのきわまでに見つけられるだろうか。( p310より )

 

読みはじめて最初の頃こそ、そんなぶっ飛んだ話…と思っていたけど、結局は読んでる時間はずっと「あと1ヶ月でみんな死んでしまうなんて…私はあと何をしよう?」と思い続けて、肩に力が入った状態でした。

「今」がある日突然終わってしまうかもしれないけど、きっとそうじゃない「今」は何て大事な日々なのだ、と思わされました。

大事でなくしたくないものは何か、改めて考えることができて感謝です。