『夜明けのすべて』読了
『夜明けのすべて』 瀬尾 まいこ 著
−−−「薬、減らして大丈夫でしょうか?」「一気にではなく徐々にやればいいし、できなきゃ、また元に戻せばいいだけだからね」医者はさらりと言った。断薬はつらいし、一度失敗すると苦労する。そういう話は、ネットの情報で何度も読んだ。俺にそれができるのだろうか。「たいへんだってよく聞きますけど……」「誰から?」「まあ、ネットで」「でしょうね。簡単に手に入れられる情報なんて、声が大きい人のものがほとんどですよ。山添さんのことを知っている人が発している意見ではないでしょう?」「そうでしょうけど」「次の診察は一ヶ月後じゃなく、一週間後にしましょう。そうすれば、次どうするのがいいか、またすぐに考えられますからね」( p264より)
読み続けてきて最後の方に出てくるこの会話に、ジワジワと込み上げてくるものがありました。どうかこのまま明るい方へ少しずつ進んで行ってほしいなと祈りたくなります。