『お探し物は図書室まで』読了
『お探し物は図書室まで』 青山 美智子 著
−−−いつのまにか繋がっていた見えない糸をたぐりよせるように、僕たちは動き続ける。やることはたくさんあるけど、「時間がない」なんて言い訳はもうよそうと僕は思った。「ある時間」で、できることを考えていくんだ。(p118 二章 諒 三十五歳 家具メーカー経理部 より)
抜粋したいところが他にもたくさんある、とても温かい作品でした。
返却期限がせまっていなければ、もう一度じっくり読み返したかった。
悩んでいるとき、迷って立ちどまっているときに、前をむくためにこの本をまた読みたいと思います。
続編があったらいいな。
『ハック大学式 最強の仕事術』読了
『ハック大学式最強の仕事術』 ぺそ 著
●「社内評価」は上司や会社の評価を気にしなくて良い
・会社や上司からの評価は、転職や人事異動でリセットされる
・市場から評価される人材を目指す
・労働市場は海であり、キャリア構築は航海である
・船の中しか見ない=市場価値が下がる人
「市場価値に関係がないものに時間や労力を割いている」ということは、極端な話、船の外に放り出されたときに、ほぼ確実におぼれ死ぬということを表します。
・具体的に持つべき視点は、「今、自分は最終的なゴールにちゃんと向かっているのか」「今、海でどのようなことが起こっているのか」「今、どの船でも通用するスキルは何か」などです。
(p39 今すぐ取り組める「マインドセット」より)
わたしが働いていた20代のころ、こういうことを考える余裕はまったくなかった。こういうことを教えてもらったことは、たぶん一度もない。
あのとき、口に出しては言わないけどこういうことを考えながら仕事をしていた人は、あの会社にいたのかな…。
あのとき、この本に出会えていたとしたら、もう少し余裕をもったり、前をむいて働くことができていたのかな…?
『夜明けのすべて』読了
『夜明けのすべて』 瀬尾 まいこ 著
−−−「薬、減らして大丈夫でしょうか?」「一気にではなく徐々にやればいいし、できなきゃ、また元に戻せばいいだけだからね」医者はさらりと言った。断薬はつらいし、一度失敗すると苦労する。そういう話は、ネットの情報で何度も読んだ。俺にそれができるのだろうか。「たいへんだってよく聞きますけど……」「誰から?」「まあ、ネットで」「でしょうね。簡単に手に入れられる情報なんて、声が大きい人のものがほとんどですよ。山添さんのことを知っている人が発している意見ではないでしょう?」「そうでしょうけど」「次の診察は一ヶ月後じゃなく、一週間後にしましょう。そうすれば、次どうするのがいいか、またすぐに考えられますからね」( p264より)
読み続けてきて最後の方に出てくるこの会話に、ジワジワと込み上げてくるものがありました。どうかこのまま明るい方へ少しずつ進んで行ってほしいなと祈りたくなります。
『THE やんごとなき雑談』読了
『THE やんごとなき雑談』 中村 倫也 著
−−−救いとなったのは、「諦める」ことだった。高望みを、諦める。人に理解してもらいたいと作った、美化した自分を諦める。その場しのぎで不安を取り繕い、誤魔化すことを諦める。無駄に人と比較しては落ち込む弱い自分を見て見ぬ振りすることを、諦める。言い換えれば、手が届く範囲の分相応な夢や目標から、正確に見極めていく。これらを経て、僕はようやく等身大の自分を受け入れ、「どうせたいした人間じゃないんだから、今日と明日をまずは精一杯生きてみよう」と、ずいぶん身軽になれたのだ。(p182 「やんごとなき者たちへ」より)
朝ドラ『半分、青い。』の頃から著者の中村倫也さんのファンです。
自意識をさらけ出すとは正にこのことだなと。さらけ出して、より一層魅力的な人なのだと納得しました。
『スモールワールズ』読了
『スモールワールズ』 一穂 ミチ 著
−−− 『温泉泊まった翌朝、手術の話になったろ。「俺のをやれたらいいんたけどな」って。まじ笑うんだけど、あの瞬間、俺、許しそうになった。もういいやって思いそうになった。だって親の言葉だったもん。病院で子どもが苦しんでんの見て、代わってやりたい、自分の心臓とか手足をあげたいって泣く親と一緒で、嘘がなくて真剣だった。だから、それはありがとう。……いや、もらってもいらねえけど』
そうか適量じゃなくてもいい時がある。叶うことのない願いや祈りなら溢れても大丈夫だった。そして叶わない願いが無力だとは限らない。(p258 愛を適量 より)
読みながらゾクッとしたり、フワッとあたたかい気持ちになったり。
ぐるぐると考えをめぐらせながら読みました。
読み応えのある作品たちです。
『京大 おどろきのウイルス学講義』読了
『京大 おどろきのウイルス学講義』 宮沢孝幸 著
−−−現在、新型コロナウイルスを巡って世論が割れています。割れているたけならまだしも、意見が異なる者同士がお互いいがみ合っているところもあります。私はそのことをとても悲しく思います。この時期に、この本を出版することで、ウイルスの真の姿を皆様に知って頂き、新型コロナウイルスの存在もあるがままに見つめ、冷静に対処してくれることを望んでいます。(あとがきより)
著者の宮沢先生の「1/100作戦」や「目玉焼き理論」などに関心をもっていて、この本を読んでみようと思いました。
新型コロナウイルスの話というよりは、ウイルス全般について書かれてあり、途中からはチンプンカンプンでしたが、この時期にこの本を出された意味がたくさんの人に伝わってほしい。
世の中の多くの人が、ゆがめられた事実やイメージではなくて、客観的な数字や事実をもとに、議論したり行動につなげたりする世の中になればいいのになと思います。
『52ヘルツのクジラたち』読了
『52ヘルツのクジラたち』 町田 そのこ 著
−−− 穏やかな光の差し込む図書館の窓際で、声をあげて泣き出しそうになった。これは、わたしだ。わたしの声は、誰にも届かない52ヘルツの声だったんだ。
でもわたしはちゃんと声を聞いてくれたひとに出会えた。アンさんが、仲間のいる世界に助け出してくれた。それだけでしあわせだと思えたあの時のことを、忘れちゃだめだ。声が届いた喜びを、忘れちゃだめだ……。
「それからかな。クジラの声を聴くと気持ちが穏やかになって、ぐっすり眠れるようになったんだ」(p116より)
いろんなことがつめ込まれていて、自分の中にきちんと落としこみたくて、2回読んだ。
わたしとしては珍しいこと。
最後は涙をこらえながらじっくりと噛みしめて読みました。